2026/03/06
たくさんある相談窓口の、どこに行けばいいのでしょうか?
児童相談所のほかにも、里親支援センター、こども家庭センターなど、いまはさまざまな施設があり、そこに相談窓口があります。相談窓口の選択肢が増えるのはいいことなのですが、それぞれの違いなどが、わかりにくいという声も聴きます。
今回は、そのあたりの制度に詳しい津田克己さんに、お話をうかがいました。
津田さんは、一般社団法つくるの代表理事。社会福祉士、公認心理師、こども家庭ソーシャルワーカーでもあり、全国児童家庭支援センター協議会事務局次長をつとめていらっしゃいます。家庭養育支援機構では、リクルートプログラムのプログラムオーナー・リーダーをしています。
――いま、里親に関連する施設が数多くあります。数が増えていくのはいいことなのですが、一方、例えば里親に関心があるとき、また里親になってから相談したいとき、どこの相談窓口に行けばいいのか、わかりにくい、という声も聴きます。まず、そのあたりをおうかがいできればと思います(出典の明記されていない資料は、津田克己さん作成になります)。
- 津田
- 下にある資料1を、まず、ごらんください。
資料 1
- 津田
- まずは児童相談所。それから2番目はこども家庭センター。この2つは公的な機関になります。
3番目がフォスタリング機関。4つ目が里親支援センター。そして5つ目は機関というよりも施設にいる人になるのですが、里親支援専門相談員。6つ目が児童家庭支援センターとなります。3番目から6番目までは、民間が多いのですが、公的な機関が行っている場合もあります。
――ありがとうございます。それでは、1つずつ、説明をお願いします。
1. 児童相談所
- 津田
- 最初の児童相談所は、たぶんいちばんなじみが深いと思います。
児童福祉法第12条に、都道府県は児童相談所を置かなければならないと決まっていまして、児童相談所の業務についても、決まっています。下の資料2にあるように、里親さんに関するところは第11条の第1項の第2号に書かれています。
資料 2
- 津田
- それを見てみると、まず里親に関する普及啓発というところから始まって、相談に応じるようなのもありますし、あと、研修をするというのもあります。4番目に書かれているのが、いわゆるマッチング。そして委託をすることが5番目に書かれています。基本的には、里親養育支援の業務は児童相談所が中心になって担うと言えると思います。
また、こどもを里親が委託をするときに、それを決めるのは児童相談所なので、里親の養育支援をするうえで、いちばん中心になっている機関というように理解していただくといいと思います。それで、基本は児童相談所が里親養育支援をやるんだけど、例えば、このやることを民間などに委託してもいいですよ、ということで、さっきお話した3番目以降の機関などもある、というようにとらえていただくとわかりやすいと思います。
――児童相談所と他の機関との関係は、そうなっているのですね。
2. こども家庭センター
――次は、こども家庭センターになります。
- 津田
- さきほどの児童相談所は都道府県と政令市に設置義務があり、中核市や特別区に任意で設置できることになっていますが、こども家庭センターは、もうちょっと小さい単位である市区町村にあります。住んでいる町の、身近な相談機関ということになります。資料3を見てください。
資料 3
- 津田
- これは令和4(2022)年の児童福祉法改正の中で、新しく設置しましょうとなった機関です。今までは母子保健法で扱っていた妊産婦や乳幼児の支援の部分と、児童福祉法で扱っていた児童と妊産婦の支援の部分をくっつけて、切れ目のない支援をしていこうという意図にもとづくものになります。
ただし、こども家庭センターは、いま、絶対置かなくてはいけないということではありません。この資料にも書いているように、設置に努めなくていけないと第10条の2にあります。努力義務です。
現実には、こども家庭センターは増えています。
ここでは、児童および妊産婦の福祉に関する包括的支援を行います。妊娠した段階から、こどもが18歳になるまでを、ずっと切れ目なくつながって支援をしていこう、そして、それを地域の中で、身近なところでやっていこうというものになっています。
今まで里親養育支援の業務は、児童相談所が中心ということで、市区町村はあまり触れていませんでした。だから、かつては市役所や区役所などに行って、「里親養育支援について何かされているんですか」って聞いても、「いや、それは児童相談所がやることです」みたいな感じでした。「実際、里親家庭と関わっているんですか」と聴いても、「児童手当の手続きでは来られますけどね」といった返事で、あまり支援という感じではなかったです。
それが、こども家庭センターができて、資料3にあるガイドラインの中でも、「里親家庭の支援もしましょう」となっています。
ここでのとらえ方は「こどもの保護者」となり、ひとり親、若年の親、里親なども含まれますとなっています。里親家庭が特別ではありません。地域の中の一つの家庭として、そこで育てる保護者の相談、こどもの相談はもちろんですが、地域の中の支援という位置づけになっています。
そして里親家庭が地域において孤立しないように、つながりを持ち、さらに児童相談所とも協力しましょう、またこれからお話しする里親支援センターなど、いろいろな機関と連携して支援しましょう、というようなことも書かれています。
それから、里親に委託されていたこどもの委託が解除されて、実の親の家庭に戻ったときに、その親子の関係を再構築していくのをサポートしています。その家庭で家族だけが子どもを育てるというのではなくて、いろいろなサービスを使いながらこどもは育っていくので、そういうサービスにつないでいくことも、こども家庭センターで行っています。あとは切れ目なくということなので、年齢に応じて、必要なことがあればサービスにつないでいったり、フォローしていったりします。
このように地域の中で、里親家庭を支えていきましょう、ということなので、これからは、里親にとっても、こども家庭センターがより身近な機関になってきます。でも児童相談所と切り離されているわけではなくて、必要に応じて連携を取りながら支援をする、そんな建て付けになっています。
全体のつながりは、下の資料4(こども家庭庁資料)を参考にしてください。
資料 4
- 津田
- なお、こども家庭センターにいきなり連絡するのはハードルが高い方はいらっしゃると思います。例えば身近な保育園などを通じてでもいいので、そこからこども家庭センターにつなぎ、さらにいろいろなメニューにつないでいきましょう、となっています。必要に応じて児童相談所とも協働します。
3. フォスタリング機関
――次は、最近よく聴くようになった、フォスタリング機関について、おうかがいします。
- 津田
- 平成28(2016)年の児童福祉法改正で「家庭養育優先の原則」というのが明記されました。
それまでは、こどもが家族と一緒に暮らせない場合、施設入所という選択肢が多かったのですが、より家庭に近いところということで、まず里親、ファミリーホーム、特別養子縁組を検討しましょう、となりました。施設の場合も、まずは大規模のものではなく、グループホームなどを検討しましょう、となりました。そして、それを進めるためのガイドラインが示されたのですね。
そこにフォスタリング機関やフォスタリング業務について示されています。フォスタリング業務というのは、児童福祉法に載っていて、この第11条第1項第2号というのは、さっき児童相談所のところでも示した条文になります。それを少し整理し、まとめたものが、下の資料5にあります。
資料 5
- 津田
- フォスタリング業務とは何かというと、まず、里親のリクルートとアセスメント。
2つ目に登録前、登録後、および委託後における里親に対する研修。
3つ目が子どもと里親家庭のマッチング。
4つ目が里親養育への支援。
ガイドラインの中には、これらが書かれています。実際にはこれに加えて、委託解除後や、自立、年齢が大きくなってからの支援なども、含まれると言われています。
この業務は、本来は児童相談所がやることだけど、それを民間機関に委託してもいいですよとなっていて、それを受けるのがフォスタリング機関だと思ってください。そのため、児童相談所とつながってやっていて、単独で独自にやっているものではないということになります。
こども家庭庁作成の資料6を見ていただくと、フォスタリング機関の4つの業務プラス自立支援となっていて、真ん中は都道府県(児童相談所)となっています。
資料 6
- 津田
- 本当はすべての業務が一体的に行われるべきですが、実際には一体的に委託しているような場合もあれば、例えばリクルートの部分だけ委託している、研修・トレーニングの部分だけを委託していることもあります。そういうことがあるので、里親さんからすると、いろいろなことをやっている人たちがいるけど、どこに相談したらいいのかわからないと感じられていた現状もあったと思います。そして、次に話す里親支援センターが、一体的にフォスタリング業務を行う機関として設置されたということになります。
4. 里親支援センター
――次は里親支援センターになります。
ここと、フォスタリング機関との違いがわかりにくいという声を聴きます。そのあたりの説明もお願いします。
- 津田
- 里親支援センターは、令和4(2022)年の児童福祉法改正で制度化されたものです(資料7)。
資料 7
- 津田
- 里親支援センターの設置は、フォスタリング機関が設置された経緯からつながっています。本来は一体的にリクルートから委託解除後の支援までをやるのがいいというように考えられていたのを、より形にしていくというものです。
なお、里親支援センターは、児童福祉施設という扱いです。お金も補助金ではなくて、義務的経費、いわゆる措置費です。自治体によって、予算が違うということではなく、国が決めているお金をしっかり出して、それで責任を持ってやろうという仕組みになったのが里親支援センターになります。
だから、フォスタリング機関をやっていたところが、里親支援センターになるような場合も実際多いと思います。そのほかは、児童養護施設や乳児院をされている法人が行うということも現実的と思います。
市町村が里親支援センターをやってもいいとはなっていますが、実際には他にやることがいっぱいでしょうから、民間に委託して、協働してやっていこうというのが念頭にはあると思います。
資料7の②にあるように、里親支援センターはいろいろな機関とつながっていますね。「都道府県、市町村、児童相談所、児童家庭支援センター、他の児童福祉施設、教育機関、その他の関係機関と相互に協力し、緊密な連携を図るよう努めなければならない」となっています。これも、単独でやっているというよりは、いろいろな機関とつながりながら里親さんへの支援をしていくと思っていただいたらいいと思います。これからは、ここ里親支援センターが中心になっていくと思います。
今お話ししたことを図にしているのが、資料8(こども家庭庁)になります。
資料 8
- 津田
- 里親支援センターが中心にあります。この図の左上のところが里親支援センターの行う業務ですね。研修とか、トレーニング、委託推進などです。
④が養育支援の業務。委託された後の支援を、いろいろな機関とつながりながらやります。
⑤が委託解除に向けてとか、18歳を越えてからになります。右上が普及促進やリクルートになります。結局は、リクルートから自立支援まで担うということになります。
――里親支援センターとフォスタリング機関との関係は、どうなっているのでしょうか?
- 津田
- 資料9(こども家庭庁)は、里親支援センターの業務の一部をフォスタリング機関にも委託できる例になります。
資料 9
- 津田
- 例えば研修とトレーニングをフォスタリング機関に委託しましょうとなっても、研修とトレーニング全部を丸投げすることはできません。研修とトレーニングの一部分だけを委託するならいいのですが。そもそも里親支援センターは里親養育支援の業務を一体的にするところなので、全部を委託してしまったら、一体的ではなくなってしまいますよね。
実際に里親支援センターの業務の一部を民間のフォスタリング機関に委託しているケースが、どのくらいあるのかというのは、私もわかりません。
――ありがとうございました。
違い、というよりも、双方がつながっている、というようになるのでしょうか。
5. 里親支援専門相談員
――次は、里親支援専門相談員です。
- 津田
- 里親支援専門相談員は、機関というよりは人です。
下の資料10になります。
資料 10
- 津田
- これは、乳児院や児童養護施設に配置された相談員が、里親やファミリーホームなどを支援する拠点としての機能を担うということになります。児童福祉法改正による他の支援機関との兼ね合いで、令和6(2024)年に業務内容が少し整理されました。
資料10の①と②では、相談員が、所属している乳児院や児童養護施設に在籍しているこどもの里親の委託を進めたり、委託された後に、その里親さんを支援したりするとあります。
③は、所属している施設出身のこどもではなく、その地域のこどもの里親への委託の推進になります。④は、その里親さんを支援します。
私は児童養護施設で里親支援専門相談員をやっていた時期があるのですが、その時は、こういうふうには整理されてなかったので、①、②も進めていましたし、③、④の私の所属施設出身ではないこどもの里親家庭にも訪問し、支援をしていました。
⑤は研修やトレーニング、⑥は委託解除後の自立支援です。委託している間にも自立支援はします。
今はこの業務を全部やるのではなく、資料10の下に書いてあるように。①②をやるパターンがA、③④をやるパターンがB、②④⑤⑥をやるのがパターンCとなり、どれかを選んでやりましょうとなっています。
かつて、里親支援相談員は1施設に2人まで置けるようになっていました。その時は①②⑤⑥をやるAというパターンか、③④⑤⑥をやるパターンBを選んで実施しましょうとなっていました。そして、それ以外の業務も、追加してやっていいことになっていました。
この里親支援専門相談員の制度の後に、フォスタリング機関や里親支援センターができ、だんだん業務はそちらへという流れになってきています。そして、施設に相談員を置く必要があるのかを、こども家庭庁は考えているのではないかと思います。
6. 児童家庭支援センター
――最後は児童家庭支援センターになります。
短くして、児家センとも言われていますね。
- 津田
- 児童家庭支援センターは、地域のこどもや家庭の支援をしていて、そこに里親養育の支援が含まれていると考えるとわかりやすいと思います。2025年10月現在で全国に197か所あります。でも、すべての都道府県には設置されておらず、東京都と新潟県にはありません。あと愛知県もないのですが、名古屋市にはあります。地域の中で、児童相談所やこども家庭センター、その他の機関などとも幅広く連携しながら、こども家庭を支援する機関になります。
資料11が児童福祉法上の児童家庭支援センターの説明ですが、わかりにくいので、さらにその下にある資料12の設置運営要綱を使って説明したいと思います。
資料 11
- 津田
- 整理すると、結局次の5つをすることとなっています。
資料 12
- 津田
- 1つ目は地域とか家庭からの相談に応じる。この相談は、知識とか技術を必要とする、ちょっと難しいものやリスクの高いものに応じましょうとなっています。
2つ目は市町村の求めに応じる事業です。こども家庭センターなど市町村から依頼を受けて、例えば、3歳児健診に一緒に立ち会ってケースカンファレンスで助言がほしい、あと、要保護児童対策地域協議会〈要対協〉の実務者会に出てほしい、健診のフォローのための相談に心理士を派遣してほしいといったことになります。
3つ目は児童相談所からの受託ということで、「2号措置」や「指導措置委託」といいます。家庭にいるこどもを措置という形で家庭訪問などをして、施設入所にならないように進めたり、施設から退所した後、家庭での生活が続けていけるように進めたり、より密に家庭と関わっていきます。
4つ目は里親等への支援ということで、里親やファミリーホームへの支援について明記されています。
そして、5つ目に、今回お話ししてきている関係機関との連携・連絡調整があります。つまり、つながりながらやっていってくださいね、というのが入っています。
地域のこども家庭とかかわる中で、里親さんたちも支援していきましょうということです。なお、今までずっとこのことをやってきている実績もあって、児童家庭支援センターから分岐して、里親支援センターになったところもあります。でも、それぞれが児童福祉施設となるので、児童家庭支援センターのなかに里親支援センターがあるという建て付けにはできません。それぞれが別の児童福祉施設として連携しながら業務を行うということになります。
資料13(こども家庭庁)は、少し古い資料ですが、里親養育支援というよりは、社会的養育について大きく捉えた図です。
資料 13
- 津田
- この図の下は事情があって家族と一緒に暮らせないこどもを公的に養育する、社会的養護の枠組みになっていて、右側が家庭養護、里親とかファミリーホーム、養子縁組になります。
ここでは、家庭養護は児童相談所、里親支援機関、児童家庭支援センターや施設が支援するとなっていますが、里親家庭は地域の中にありますので、実際には市町村(こども家庭センター)や地域の社会資源とも連携しながら里親養育を進めることになると思います。
里親家庭に地域全体で関わっていく、そして社会全体が子どもを育てていくということが、国のめざすところとして示されています。
――ていねいな説明、ありがとうございました。
そうすると、質問があるときには、どこがいいのか、それぞれの役割をみて、考えるということでしょうか?
- 津田
- 今日のご質問、いろいろな機関があるけど、どこに相談をしたらいいのかということですね。
結局はいろいろな機関があって、法律上の建て付けの違いはあるんですけれど、地域の、お話をしやすいとか、今までつながりがあるとか、そういうところを中心に関わっていただくのがいいのかな、というふうには思います。その中で連携するということがこれだけ言われていますので、ある機関で対応が難しいようなことがあった場合、児童相談所とか、里親支援センターとか、より専門的なことを扱うところにつないでくれると思うし、それで終わりではなく、一緒に動いてくれると思います。
ただ、お話しした機関が全部の地域にそろっているわけではないというのはあるかと思います。児童相談所と、こども家庭センターは多くのところにあると思うので、そこを軸としながらになると思います。あとは里親支援センターがこれからどんどんでき、そこが包括的にリクルートから自立支援まで、一つの流れで支援を行う、里親養育支援の中心になっていくと思います。
――ありがとうございました。一見複雑なようですが、それぞれに役割があり、それらが、また横にもつながっている、ということがわかりました。
- 津田
- はい、まさにそうです。
――そうすると、例えば里親制度について知りたいというときは、どこにいくのがいいのでしょうか?
- 津田
- どこでもいいと思います。でも、現在の流れからすると、里親支援センターか児童相談所だと思います。
――あと、実際に里親として登録できる権限を持っているのは、児童相談所だけでしょうか?
- 津田
- そうですね。最後に登録するところの審査などをしているのは児童相談所と理解していただいたらいいと思います。そして、こどもの委託をするのも児童相談所になります。
ただ、児童相談所も多くの業務があるので、民間の力も使いながら協働していこうというのが、まさに里親支援センターを作った経緯なのです。だから、里親支援センターを入口にしても、児童相談所につながることになります。その二つのどちらかが入口としてはいいのかなと思います。
――実際にこどもを委託されていて、という場合は、まず、今だったら、フォスタリング機関、里親支援相談センター、里親支援専門員などに相談するということにもなりますでしょうか?
- 津田
- はい、相談できます。あと児童家庭支援センターに相談するでもいいと思います。
実際私も、児童家庭支援センターで仕事をしていましたけれど、たくさんの里親さんたちたちとつながっていて、日常の相談も聞いていましたし、里親会ともつながって、里親会のイベントによく出させていただいていました。そのようなときに、里親さんから、「あの、津田さん、ショートステイを夏休みに何日か使いたいんだけど、空いている施設ってありますか」というような相談を受けたりしていました。
――それぞれの違いが、わかってきました。 ご説明、ありがとうございました。
聞き手 坂本純子